外国人採用

特定技能でインドネシア人を採用するには?受け入れの流れ・費用・企業の義務をわかりやすく解説

ホワイトボードに手順を書き出す2人の女性

「求人を出しても日本人の応募が来ない」「ベテランが引退したら現場が回らなくなる」。地方の中小企業で、人手不足はもう待ったなしの課題です。その解決策として、特定技能制度で外国人材を受け入れる会社が急速に増えています。

なかでも、ここ数年で存在感を増しているのがインドネシアの人材です。特定技能で働くインドネシア人は、国籍別でベトナムに次ぐ2位となり、半年で2割以上増えています。

とはいえ、「何から始めればいいのか」「費用はどのくらいかかるのか」「インドネシアならではの手続きはあるのか」と、最初の一歩でつまずく会社も少なくありません。この記事では、出入国在留管理庁などの公的資料をもとに、インドネシア人を特定技能で採用するための流れ、費用、企業の義務を整理します。

この記事でわかること
  • 特定技能で働くインドネシア人が増えている背景(最新の公的データ)
  • 特定技能1号・2号の基本と、受け入れできる分野
  • インドネシア人ならではの手続き(IPKOL・SISKOP2MI・E-PMI)
  • 受け入れまでの流れと、かかる費用の内訳
  • 受け入れ企業の義務と、2027年に始まる育成就労制度との関係

データで見る、特定技能で働くインドネシア人

まずは最新の数字を確認しておきましょう。出入国在留管理庁が2026年9月に公表した資料によると、2026年6月末時点で特定技能の在留資格で働く外国人は444,256人と、過去最高を更新しました。

44.4万人
特定技能で働く外国人
(2026年6月末)
10.7万人
うち特定技能1号の
インドネシア人
+23.9%
インドネシア人1号の
半年間の増加率

特定技能1号を国籍別に見ると、1位はベトナム(163,154人)、2位がインドネシア(107,242人)で、インドネシアは全体の25.2%を占めています。2025年12月末の86,523人から、わずか半年で2万人以上増えました。上位5か国の中でも、際立って伸びている国の一つです。

熟練した人が対象の特定技能2号でも、インドネシア人は1,125人と、半年前の432人から2.6倍に増えています。インドネシア人材は「一時的な働き手」から、「長く日本で活躍する人材」へと広がりつつあるといえます。

インドネシア人材が選ばれる理由

受け入れ企業がインドネシア人材に注目する理由として、よく挙げられるのが次の点です。

若い働き手が多い大国

外務省の資料によると、インドネシアの人口は約2.79億人(2023年)で、世界有数の人口大国です。若い世代が多く、海外で働くことに意欲的な人材が豊富にいます。日本とインドネシアの間では、2019年に特定技能に関する協力覚書が結ばれ、制度面での受け入れの枠組みも整えられてきました。

人柄と働きぶりへの評価

受け入れ企業からは「穏やかで協調性がある」「チームで働くことを大切にする」「年長者を敬う」といった声がよく聞かれます。もちろん個人差はありますが、日本の職場の文化になじみやすいと感じる会社が多いようです。

試験を受けられる場所が多い

特定技能の技能試験は、インドネシア国内でも複数の都市で実施されています。たとえば建設分野の試験は、ジャカルタ、スラバヤ、バンドン、ジョグジャカルタ、メダン、スマラン、バリで受験できます。現地で試験に合格した人材を、海外から直接呼ぶことができます。

宗教への理解は欠かせない

インドネシアは、国民の約87%がイスラム教徒の国です。1日5回の礼拝、豚肉やアルコールを口にしない食習慣、ラマダン(断食月)など、日本人にはなじみの薄い習慣があります。受け入れ前に基本を理解し、職場でどう配慮するかを決めておくことが、長く働いてもらうための前提になります。

特定技能制度の基本:1号と2号の違い

特定技能は、人手不足が深刻な分野で、一定の技能と日本語力を持つ外国人を即戦力として受け入れるための在留資格です。1号と2号の2段階があります。

項目特定技能1号特定技能2号
求められる水準一定の知識・経験(技能試験と日本語試験に合格)熟練した技能(より高度な試験、実務経験)
在留期間通算で原則5年まで更新の上限なし
家族の帯同原則不可配偶者と子どもは可
対象分野19分野11分野
企業による支援義務(登録支援機関への委託も可)不要

受け入れできる19分野

特定技能1号の対象は、2026年10月時点で次の19分野です。

介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環

このうち、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野は2026年1月に追加が決まったもので、受け入れ開始は関係する省令などの準備が整ってからとされています。また、外食業分野は受け入れの上限に近づいているため、2026年4月から新規の受け入れ手続きが一時停止されています。分野ごとの最新の状況は、必ず出入国在留管理庁の情報で確認してください。

建設分野は、ほかの分野にはない独自の要件が多い分野です。詳しくは「建設業で特定技能外国人を受け入れるには?」で解説しています。

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インドネシア人を受け入れるまでの流れ

インドネシア人を特定技能で受け入れる場合、日本側の在留手続きに加えて、インドネシア政府が定める手続きが必要になります。ここがほかの国との大きな違いです。

インドネシア側で必要になる3つの仕組み

名称内容
IPKOLインドネシア政府の求人・求職システム。海外から直接採用する場合、受け入れ企業がここに求人を登録することをインドネシア側が強く求めている。登録はオンラインで無料
SISKOP2MI海外で働くインドネシア人を管理する政府のシステム。採用が決まった本人が登録し、ID番号の発行を受ける
E-PMI移住労働者証。海外で働くインドネシア人が出国前に発行を受ける証明書で、どの採用方法でも必要

海外から呼ぶ場合(直接採用)の流れ

01

求人と面接

IPKOLに求人を登録し、候補者と面接する

02

雇用契約

雇用契約を結び、契約書をIPKOLに登録する

03

在留資格の申請

日本の入管に在留資格認定証明書を申請し、交付後に本人へ送る

04

インドネシア側の手続き

本人がSISKOP2MIに登録し、ID番号を取得してビザを申請する

05

出国・入社

ビザの発給、E-PMIの発行を経て出国し、入社する

インドネシアの許可を受けた送出機関(P3MI)を通す方法もあります。この場合は、日本側の職業紹介事業者が送出機関と提携し、求人票や雇用契約書について駐日インドネシア大使館の確認を受けます。なお、どちらの方法でも面接は必ず受け入れ企業が行います。送出機関が独自に候補者を選別することは認められていません。

日本に住んでいる人を採用する場合

技能実習を終えた人や、日本の学校を卒業した留学生など、すでに日本に住んでいるインドネシア人を採用する方法もあります。この場合は、雇用契約を結んだあと、本人がSISKOP2MIへの登録とE-PMIの発行を受け、駐日インドネシア大使館で届出をして推薦状を受け取り、日本の入管に在留資格の変更を申請します。海外から呼ぶ場合に比べて、働き始めるまでの期間が短くなりやすいのが利点です。

期間の目安

海外から呼ぶ場合、候補者探しから入社までは数か月単位の期間を見込んでおく必要があります。在留資格の審査は、4月入社に向けた時期に混み合いやすいとされています。入社してほしい時期から逆算して、半年ほど前には準備を始めると安心です。

制度の最新情報を必ず確認する

日本とインドネシアの特定技能に関する協力覚書は、2026年6月に6か月間の延長が決まったところです。その後の扱いや、インドネシア側の手続きは変わる可能性があります。受け入れを進める際は、出入国在留管理庁の「インドネシアに関する情報」のページで最新の状況を確認してください。

受け入れにかかる費用の内訳

特定技能の受け入れにかかる費用は、採用の方法や分野、どこまで外部に委託するかによって大きく変わります。主な費用を整理しました。

費用の種類目安・ルール補足
人材紹介の手数料紹介事業者ごとに異なる採用時に一度かかる。複数社の条件を比べる
登録支援機関への委託費月2万〜3万円程度が多いとされる1号の支援を外部に任せる場合。1人あたり毎月かかる
在留資格の変更・更新の手数料1年の許可で3.3万円など2026年10月から大幅に引き上げ(下表参照)
渡航費実費インドネシア側のルールでは雇用主負担が原則
住居実費1人あたり7.5㎡以上の居室が必要
IPKOL・SISKOP2MIの手続き無料インドネシア当局の説明による
分野ごとの費用分野による建設分野ではJACへの受入負担金(月12,500円/人)など

2026年10月から、在留手続きの手数料が上がった

見落としやすいのが、在留資格の変更や更新にかかる手数料です。2026年10月1日以降に受け付けた申請から、許可される在留期間に応じて次の金額になりました。

許可される在留期間窓口申請オンライン申請
3か月以下10,000円10,000円
1年33,000円27,000円
1年超3年未満48,000円42,000円
3年以上5年未満64,000円56,000円
5年以上75,000円65,000円

改定前は一律6,000円(オンラインは5,500円)だったため、大きな負担増です。特定技能1号は定期的に更新が必要になるため、受け入れ人数が多い会社ほど、年間の費用計画に組み込んでおく必要があります。

インドネシア側の費用ルール

インドネシアでは法律で、海外で働く人に送り出しの費用を負担させてはならないと定められています。2025年8月に施行された大臣令では、訓練、健康診断、パスポート、就労ビザ、往復の航空券、事業者の手数料などを、原則として雇用主の負担としています。日本側の法令でも、本人が帰国の旅費を負担できないときは受け入れ企業が負担することになっています。「本人の負担でよいだろう」と考えず、最初から会社の費用として見込んでおきましょう。

受け入れ企業の義務と、やってはいけないこと

受け入れ企業が守るべき主なこと

  • 報酬は日本人と同等以上——同じ仕事をする日本人と同じかそれ以上の給料を支払う
  • 支援計画の作成と実施(1号)——入国前の説明、空港への送迎、住居の確保、生活に必要な契約の手伝い、日本語学習の機会、相談への対応など。登録支援機関に委託することもできる
  • 一時帰国への配慮——本人が一時帰国を希望したときは、有給休暇を取れるように配慮する
  • 入管への届出——2025年4月から、定期の届出は年1回(翌年度の4月1日〜5月31日)になった
  • 自治体への協力確認書——2025年4月から、受け入れ前に勤務地と住居地の市区町村へ提出が必要になった

やってはいけないこと

  • 保証金を取る、本人の財産を管理する
  • 途中で辞めたら違約金を払わせる契約を結ぶ
  • 支援にかかる費用を、直接・間接に本人に負担させる
  • パスポートや在留カードを会社が預かる

これらは、外国人の人権を守るために法令で禁じられている行為です。悪質な場合は、受け入れそのものができなくなります。

2027年に始まる育成就労制度との関係

2027年4月1日から、技能実習制度に代わって「育成就労制度」が始まります。育成就労は、人手不足の分野で3年間かけて特定技能1号の水準まで人材を育てる制度です。一定の条件のもとで、本人の希望による転籍(職場の変更)も認められるようになります。

今後は、育成就労(3年)→ 特定技能1号(最長5年)→ 特定技能2号(更新上限なし)という形で、外国人材が段階的に長く日本で働けるようになります。裏を返せば、待遇や職場環境が良くない会社からは、人材が離れやすくなるということでもあります。

「人を確保すること」だけでなく、「選ばれる職場をつくること」が、これまで以上に重要になります。インドネシア人材に長く働いてもらうための配慮は「インドネシア人材が定着する職場づくり」で詳しく解説しています。

受け入れ準備チェックリスト

インドネシア人材の受け入れを考え始めたら、まずは次の10項目を確認してみてください。

受け入れ準備チェック

  • 自社の仕事が、特定技能の対象分野・業務区分に当てはまっている
  • その分野で、新規の受け入れが停止されていない
  • 同じ仕事をする日本人と同等以上の給料を用意できる
  • 1人あたり7.5㎡以上の住居を用意できる
  • 支援を自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決めている
  • 海外から呼ぶか、日本に住んでいる人を採用するかを決めている
  • 渡航費や在留手続きの手数料を含めた費用を見積もっている
  • 礼拝や食事など、宗教への配慮をどうするか社内で話し合っている
  • 仕事を教える担当者と、困りごとの相談窓口を決めている
  • 入社してほしい時期から逆算して、半年ほど前に準備を始められる

分からない項目がある場合は、出入国在留管理庁の資料を確認するか、専門家に相談しながら進めましょう。

よくある質問

特定技能のインドネシア人は、日本語でどのくらい会話ができますか?

特定技能1号で来日する人は、原則として日本語の試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上)に合格しています。日常的な会話はおおむねできる水準ですが、専門用語や方言、早口の指示は伝わりにくいことがあります。最初のうちは、ゆっくり短い言葉で話す、図や写真で示すといった工夫をすると、仕事を覚えるスピードが上がります。

インドネシアの送出機関を使わずに、直接採用することはできますか?

可能です。インドネシアの送出機関(P3MI)を利用するかどうかは任意とされています。直接採用する場合は、インドネシア政府の求人システム(IPKOL)に求人を登録して採用する方法があり、インドネシア側はこの登録を強く求めています。どちらの方法でも、インドネシア政府のシステム(SISKOP2MI)への登録と、移住労働者証(E-PMI)の発行は必要です。

採用から実際に働き始めるまで、どのくらいかかりますか?

海外から呼ぶ場合は、候補者探しから雇用契約、在留資格の申請、インドネシア側の手続き、ビザの発給、出国まで多くの段階があるため、数か月単位の期間を見込んでおく必要があります。建設分野のように国の計画認定が別に必要な分野では、さらに時間がかかります。すでに日本に住んでいる人を採用する場合は、比較的短い期間で働き始められることが多いです。

特定技能の外国人に支払う給料は、日本人より安くてもよいですか?

いいえ。特定技能の外国人の報酬は、同じ仕事をする日本人と同等以上であることが法令で定められています。「外国人だから安く雇える」という考え方は通用しません。賃金の安さを理由にした転職や失踪を防ぐ意味でも、仕事内容と経験に見合った処遇を用意することが大切です。

技能実習生を受け入れている会社は、特定技能に切り替えられますか?

技能実習2号を良好に修了した人は、同じ分野の特定技能1号へ、技能試験と日本語試験を免除されて移行できる仕組みがあります。すでに職場に慣れた人に長く働いてもらえるため、多くの会社が活用しています。なお、技能実習制度は2027年4月から育成就労制度に移行するため、今後の受け入れ計画はあわせて見直しておくと安心です。

まとめ

特定技能で働くインドネシア人は10万人を超え、国籍別で2位、しかも急速に増えています。人手不足に悩む地方の中小企業にとって、インドネシア人材は有力な選択肢の一つです。

一方で、インドネシア人の受け入れには、IPKOLやSISKOP2MIといったインドネシア独自の手続きがあり、2026年10月からは在留手続きの手数料も上がりました。制度の最新情報を確認しながら、費用と準備のスケジュールに余裕を持って進めることが成功のポイントです。

そして何より大切なのは、来てくれた人が長く働き続けられる職場をつくることです。給料や住居といった条件だけでなく、宗教や文化への理解、相談しやすい環境づくりまでを含めて準備を進めましょう。

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参考資料

  • 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末)のポイント」(2026年9月) PDF
  • 出入国在留管理庁「インドネシアに関する情報」(特定技能・二国間の協力覚書) Web
  • 出入国在留管理庁「インドネシア国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ」 PDF
  • 出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」 Web
  • 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」 Web
  • 出入国在留管理庁 特定技能制度の運用改善(2025年4月施行) Web
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」(2026年7月改訂) PDF
  • 特定技能基準省令(平成31年法務省令第5号) Web
  • 外務省「インドネシア基礎データ」 Web
  • インドネシア移住労働者保護省 大臣令2025年第17号(移住労働者の配置費用) PDF

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Profile

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金井 泰幸

offtie 代表。GMOインターネットグループでのデジタルマーケティング支援を経て独立。地域に根差した企業の「伴走役」として、ホームページやSNS・Web広告による発信、AIを使った業務効率化、人手の足りない業務の代行まで、会社の困りごとをまとめて支援している。