外国人採用

建設業で特定技能外国人を受け入れるには?条件・費用・手続きを国交省の基準で解説

建設現場で作業する作業員

建設業の人手不足は、もはや一社の努力では解決できない段階にきています。若手の応募が来ない、ベテランが次々と引退していく。そうしたなかで、特定技能制度を使って外国人技能者を受け入れる建設会社が年々増えています。

ただし、建設分野の特定技能は、ほかの分野にはない独自の要件が多いことで知られています。国土交通省による受入計画の認定、JAC(建設技能人材機構)への加入、建設キャリアアップシステムへの登録、月給制での支払いなど、知らずに進めると手続きの途中で止まってしまうこともあります。

この記事では、国土交通省の基準をもとに、建設業で特定技能外国人を受け入れるための条件、費用、手続きの流れを整理します。

この記事でわかること
  • 建設分野で働く特定技能外国人の最新の人数と動向
  • 建設分野だけに求められる受け入れの条件
  • JACの会費・受入負担金など、建設分野ならではの費用
  • 試験と業務区分、受け入れまでの流れ
  • 受け入れ前に確認したいチェックリスト

データで見る、建設分野の特定技能外国人

出入国在留管理庁が2026年9月に公表した資料によると、2026年6月末時点で建設分野の特定技能1号は52,132人、熟練した人が対象の特定技能2号は5,329人でした。

5.2万人
建設分野の
特定技能1号
5,329人
建設分野の
特定技能2号
約3倍
2号の半年間の増加
(1,799人→5,329人)

注目したいのは2号の伸びです。建設分野の2号は半年で約3倍に増え、2号全体の中で分野別1位(29.1%)になりました。建設の現場では、外国人技能者が「数年で帰る人」から「班長として現場を任される人」へと変わりつつあります。

国土交通省の資料によると、建設現場で働く外国人技能者は約14.6万人で、建設技能者全体の約4.9%を占めています(2024年)。国籍別では、2024年12月末時点の建設分野の特定技能はベトナムが最多で、フィリピン、インドネシアと続きます。インドネシアは特定技能全体では国籍別2位まで伸びており、今後は建設分野でも存在感が増していくと考えられます。インドネシア人材の採用全般は「特定技能でインドネシア人を採用するには?」で解説しています。

建設分野で受け入れるための8つの条件

建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、特定技能に共通するルールに加えて、国土交通省が定める建設分野独自の基準を満たす必要があります。主な条件を8つにまとめました。

1. 建設業許可を受けている

建設業法第3条の許可を受けていることが前提です。許可を持たずに軽微な工事のみを請け負っている会社は、受け入れができません。

2. 建設特定技能受入計画の認定を受ける

在留資格の申請とは別に、国土交通大臣から「建設特定技能受入計画」の認定を受ける必要があります。報酬、労働条件、受け入れ人数、教育の計画などを記載し、オンラインで申請します。在留資格の審査と並行して進めることはできますが、認定がなければ在留資格は許可されません。

3. JAC(建設技能人材機構)に加入する

JACの正会員である建設業者団体の会員になるか、JACの賛助会員になる必要があります。JACが定める行動規範を守ることも求められます。費用については次の章で詳しく解説します。

4. 建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録する

受け入れる会社と、受け入れる外国人の両方がCCUSに登録する必要があります。CCUSは、技能者の資格や現場での経験を記録する仕組みで、技能に応じた処遇の根拠にもなります。

5. 日本人と同等以上の報酬を、月給制で支払う

同等の技能を持つ日本人と同じ額以上の報酬を、安定的に支払う必要があります。建設分野では特に次の2点が重要です。

  • 月給制——仕事の繁閑で報酬が変わらない月給制が必須。ほかの社員が日給月給制でも、特定技能外国人は月給制にする
  • 昇給——技能の習熟に応じて昇給することを雇用契約に明記する。定期昇給がない、年間の昇給が月額千円未満といった場合は、実質的な昇給と認められない

6. 受け入れ人数の上限を守る

特定技能1号の外国人の人数は、会社の常勤職員の総数を超えてはいけません。この常勤職員の数には、特定技能1号の外国人と技能実習生は含まれません。日本人の常勤職員が5人なら、1号は5人までです。

7. 雇用契約の前に、母国語などで重要事項を説明する

雇用契約を結ぶまでに、仕事の内容や報酬などの重要事項を、本人が理解できる言語の書面で説明する必要があります。

8. 受け入れ後の講習と巡回指導に対応する

受け入れ後おおむね3〜6か月以内に、国が指定する機関(FITS)の講習を受けさせます。講習の日は出勤日として扱います。また、受け入れの開始・終了時の国土交通大臣への報告や、国・FITSの巡回訪問への協力も必要です。

下請として受け入れる場合の注意

下請の立場で特定技能外国人を受け入れる場合は、元請企業の指導に従うことも求められます。国土交通省は元請向けの「下請指導ガイドライン」を2026年2月に更新しています。元請の現場に入る前に、受け入れの状況を元請と共有しておきましょう。

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建設分野ならではの費用

建設分野では、特定技能に共通する費用に加えて、JACへの会費と受入負担金がかかります。金額はJACの公式ページの情報(2026年10月時点)です。

費用金額補足
JACの年会費(正会員団体経由)JACへの年会費はなし加入する建設業者団体の会費が別途かかる(団体ごとに異なる)
JACの年会費(賛助会員)年24万円入会金はなし
受入負担金1号1人あたり月12,500円年間で1人約15万円。受け入れ人数に比例する
CCUSの登録・利用料所定の料金事業者と技能者の両方の登録が必要
在留手続きの手数料1年の許可で3.3万円など2026年10月から大幅に引き上げ

このほか、人材紹介の手数料、登録支援機関への委託費(支援を外部に任せる場合)、渡航費、住居費などがかかります。過去の資料には、JACの会費や負担金について現在と異なる金額が載っていることがあるため、最新の金額は必ずJACの公式ページで確認してください。

費用を見積もるときの考え方

たとえば、正会員団体を通じてJACに加入し、特定技能1号を2人受け入れる場合、受入負担金だけで年間約30万円がかかります。これに団体の会費、登録支援機関への委託費、住居費などが加わります。

一見すると負担は大きく感じますが、求人広告を出しても応募がない、人材紹介の手数料を払っても定着しない、という状況と比べてどうかで判断することが大切です。長く働いてもらえれば、1人あたりの採用コストは年々下がっていきます。

試験と業務区分

業務区分は3つ

建設分野の業務区分は、2022年8月に19区分から次の3区分に再編されました。

業務区分主な作業の例
土木型枠施工、コンクリート圧送、とび、建設機械施工、鉄筋施工など
建築型枠施工、左官、内装仕上げ、屋根ふき、とび、鉄筋施工、大工など
ライフライン・設備電気通信、配管、建築板金、保温保冷など

区分が広くなったことで、1人の外国人にさまざまな作業を任せやすくなりました。ただし、雇用契約や受入計画に記載した区分の範囲で働いてもらう必要があります。

試験の概要

建設分野の特定技能評価試験は、JACが実施しています。パソコンで受験する方式(CBT)で、試験は日本語で行われます。1号の受験には、技能試験に加えて日本語の試験への合格も必要です。

試験は日本国内のほか、インドネシア、ベトナム、フィリピンなど12か国で実施されています。インドネシアでは、ジャカルタ、スラバヤ、バンドン、ジョグジャカルタ、メダン、スマラン、バリで受験できます。なお、技能実習2号を良好に修了した人は、試験が免除されます。

特定技能2号になるには、2号の評価試験への合格に加えて、現場で班長として働いた実務経験が求められます。

受け入れまでの流れ

建設分野で特定技能外国人を受け入れるまでの、おおまかな流れは次のとおりです。

01

JACへの加入とCCUS登録

建設業者団体またはJACに加入し、会社のCCUS登録を済ませる

02

人材の募集と雇用契約

面接を行い、月給制・昇給を明記した雇用契約を結ぶ

03

受入計画の認定申請

国土交通省に建設特定技能受入計画をオンラインで申請する

04

在留資格の申請

入管に在留資格を申請。インドネシア人の場合は現地の手続きも並行する

05

入社と講習

入社後、CCUSに本人を登録し、3〜6か月以内にFITSの講習を受けさせる

JACへの入会は、毎月25日の正午までに書類がそろえば、翌月の第2営業日に承認されます。受入計画の認定にも審査期間がかかるため、人材を探し始めるのと同時に、会社側の手続きも進めておくことがスケジュールを短くするコツです。

現場で長く働いてもらうために

条件を満たして受け入れができても、すぐに辞められてしまっては意味がありません。出入国在留管理庁の「在留外国人に対する基礎調査」(令和7年度)では、仕事の困りごととして最も多かったのが「給料が低い」(29.1%)でした。条件面に加えて、次のような点を意識しておきましょう。

  • 昇給の道筋を見せる——資格や技能に応じて給料がどう上がるかを、入社時に具体的に伝える
  • 安全のルールを伝わる形で教える——写真や図、やさしい日本語を使い、危険な作業を確実に理解してもらう
  • 宗教や生活習慣に配慮する——インドネシア人の多くはイスラム教徒。礼拝や食事、断食月の現場での体調管理に気を配る
  • 相談できる人を決める——仕事の悩みも生活の悩みも相談できる担当者を置く

インドネシア人材への具体的な配慮は「インドネシア人材が定着する職場づくり」で詳しく解説しています。また、外国人材とあわせて日本人の若手も採用したい場合は「建設業の採用に効くホームページとは?」もご覧ください。

受け入れ前のチェックリスト

建設分野の受け入れ準備チェック

  • 建設業法第3条の建設業許可を受けている
  • 過去5年以内に、建設業法に基づく監督処分を受けていない
  • JACの正会員団体に加入しているか、賛助会員として加入する準備がある
  • 会社として建設キャリアアップシステムに登録している
  • 同等の技能の日本人と同等以上の報酬を、月給制で支払える
  • 技能の習熟に応じた昇給の仕組みを、雇用契約に書ける
  • 受け入れ人数が、常勤職員の総数を超えない
  • 任せたい作業が、土木・建築・ライフライン設備のどの区分か分かっている
  • 受入負担金(月12,500円/人)を含めた年間の費用を見積もっている
  • 受け入れ後の講習や巡回訪問に対応できる担当者がいる

すべての項目にチェックが入れば、受け入れの準備が整っている状態です。

よくある質問

建設業許可を持っていない会社でも、特定技能の外国人を受け入れられますか?

受け入れられません。建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、建設業法第3条の許可を受けていることが条件です。許可を持たずに軽微な工事だけを請け負っている会社は、まず建設業許可の取得から検討する必要があります。

日給月給制で働いている日本人社員がいます。特定技能の外国人も日給制でよいですか?

いいえ。建設分野の特定技能外国人には、仕事の繁閑によって報酬が変わらない月給制での支払いが義務付けられています。これは、ほかの社員が月給制でない場合にも適用されます。雨で現場が休みになった月でも、決められた月給を支払う必要があります。

JACには必ず加入しないといけないのですか?

はい、建設分野では必須です。JACの正会員である建設業者団体の会員になるか、JAC自体の賛助会員になる必要があります。正会員団体を通じて加入する場合はJACへの年会費はかかりませんが、団体ごとの会費がかかります。賛助会員として直接加入する場合は年24万円です。いずれの場合も、1号の外国人1人あたり月12,500円の受入負担金がかかります。

何人まで受け入れられますか?

建設分野では、特定技能1号の外国人の人数が、会社の常勤職員の総数を超えてはいけないというルールがあります。この常勤職員の数には、特定技能1号の外国人と技能実習生は含まれません。たとえば日本人の常勤職員が5人なら、特定技能1号の外国人は5人までです。

技能実習生をそのまま特定技能に切り替えることはできますか?

技能実習2号を良好に修了した人は、技能試験と日本語試験を免除されて、関連する特定技能1号へ移行できます。すでに現場と仕事を知っている人材なので、即戦力として長く働いてもらえます。ただし、建設分野では受入計画の認定やJACへの加入など、特定技能としての手続きを改めて行う必要があります。

まとめ

建設分野の特定技能外国人は1号で5万人を超え、班長クラスの2号も急速に増えています。人手不足に悩む建設会社にとって、特定技能は現実的な選択肢です。

ただし、建設分野には建設業許可、受入計画の認定、JACへの加入、CCUS登録、月給制、受け入れ人数の上限といった独自の条件があります。これらを事前に確認し、会社側の手続きを人材探しと並行して進めることが、スムーズな受け入れのポイントです。

そして、受け入れはゴールではなくスタートです。昇給の道筋を示し、安全と生活の両面で支えることで、現場を長く支えてくれる人材に育っていきます。

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  • 受け入れ条件の確認と、準備の進め方の整理
  • 外国人材向けの求人ページ・会社紹介ページの制作
  • 写真とやさしい日本語を使った安全教育・業務マニュアルの作成
  • 受け入れ後の社内コミュニケーションや定着の仕組みづくり

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参考資料

  • 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末)のポイント」(2026年9月) PDF
  • 国土交通省 特定技能制度(建設分野) Web
  • 国土交通省「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(建設分野)運用要領」 PDF
  • 国土交通省「建設分野における外国人技能者の受入れ」 PDF
  • 国土交通省「令和6年度 建設分野特定技能評価試験 実施状況報告書」(2025年10月) PDF
  • 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)「年会費と受入負担金」 Web
  • 出入国在留管理庁「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査」(2026年5月) Web

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Profile

YK

金井 泰幸

offtie 代表。GMOインターネットグループでのデジタルマーケティング支援を経て独立。地域に根差した企業の「伴走役」として、ホームページやSNS・Web広告による発信、AIを使った業務効率化、人手の足りない業務の代行まで、会社の困りごとをまとめて支援している。