マーケティング

はじめてのマーケティング戦略の立て方。小さな会社・中小企業が「伝わる」を作る3ステップ【戦略シート付き】

マーケティング戦略のメモ

「商品にもサービスにも自信がある。なのに、新規のお客様がなかなか増えない」。地方の中小企業の社長から、こうした相談をよく受けます。話を聞いていくと、多くの場合、原因は商品力ではありません。「誰に、何を、どう伝えるか」が整理されないまま、チラシやSNS、広告などの施策を思いつきで打っていることにあります。

広告予算も専任のマーケティング担当もいない小さな会社だからこそ、限られたお金と時間を正しい場所に集中させる「マーケティング戦略」が効いてきます。難しい理論を覚える必要はありません。3つのステップで考えを整理し、1枚の紙にまとめるだけで、施策の迷いは大きく減ります。

この記事では、中小企業がマーケティング戦略を立てる手順を、3C・STP・4Pといった定番の考え方を専門用語抜きで使いながら解説します。そのまま使える戦略シートと記入例、よくある失敗、点検用のチェックリストも用意しました。

この記事でわかること
  • 中小企業にとっての「マーケティング戦略」と、戦術(施策)との違い
  • 戦略を立てる3ステップ:現状を知る(3C)→ 誰に・何を決める(STP)→ どう届けて続けるか(4P)
  • 1枚で書けるマーケティング戦略シートと、地方の会社を想定した記入例
  • 小さな会社がやりがちな5つの失敗と、その避け方
  • 自社の戦略を点検できる10項目のチェックリスト

マーケティング戦略とは?小さな会社にとっての意味

マーケティング戦略とは、ひとことで言えば「誰に、どんな価値を、どの立ち位置で届けるか」を決めた方針です。チラシを配る、Instagramを始める、ネット広告を出す、といった個別の打ち手は「戦術(施策)」で、戦略はその上にある判断の軸にあたります。

大企業のマーケティング部門のように、市場調査会社を使って分厚い資料をつくる必要はありません。中小企業にとっての戦略は、社長や社員が「うちは、こういうお客様の、こういう困りごとを、こういうやり方で解決する会社だ」と同じ言葉で説明できる状態をつくることです。

区分決めること例(地方の住宅リフォーム会社)
戦略誰に、どんな価値を、どの立ち位置で届けるか築30年前後の家に住む60代夫婦に、「水まわりを1か所ずつ、住みながら直せる」安心を、地元の小回りの利く会社として届ける
戦術(施策)戦略を実現するために、何を、いつ、どこでやるか施工事例をホームページに毎月追加する/地域情報誌に水まわり特集の広告を出す/完工したお客様に紹介カードを渡す
指標うまくいっているかを何で判断するか月の問い合わせ件数、問い合わせのきっかけ(何を見たか)、見積もりから契約に進んだ割合

※例は説明のための架空のケースです。

戦略が決まっていると、「この広告は出すべきか」「このSNSはやるべきか」といった判断に、迷わず答えが出せるようになります。逆に戦略がないまま施策を重ねると、施策ごとに狙う相手や伝える内容がばらばらになり、どれが効いたのかも分からなくなります。

なぜ「良いもの」だけでは届かないのか

良い商品やサービスを作ることと、それが「届く」ことは、別の課題です。お客様は、存在を知らない会社を選ぶことはできません。そして存在を知っていても、「自分に関係がある」と感じなければ、比較の候補にすら入りません。

大企業は、テレビCMや大量の広告で「知ってもらう」ことをお金で解決できます。小さな会社にはそれができないぶん、「誰に届けるか」を絞り込み、その人が実際に目にする場所で、その人に響く言葉で伝える精度が、成果を大きく左右します。マーケティング戦略は、この精度を上げるための道具です。

「届かない」ときに起きていること

届かない原因は、次の3つのどれかであることがほとんどです。①そもそも知られていない(接点がない)、②知られているが自分ごとと思われていない(言葉が合っていない)、③興味を持たれたが選ばれていない(比較で負けている、問い合わせしにくい)。3ステップは、この3つを順番につぶしていく考え方です。

マーケティング戦略を立てる3ステップの全体像

マーケティング戦略の立て方には、定番の考え方(フレームワーク)がいくつもあります。中小企業がまず押さえておけばよいのは、3C・STP・4Pの3つです。それぞれを、次の3ステップに当てはめて使います。

STEP 1

今の立ち位置を知る(3C)

顧客・競合・自社の3つの視点で、現状を書き出す

STEP 2

誰に、何を届けるか決める(STP)

お客様を分け、狙う相手を選び、他社との違いを1行にする

STEP 3

どう届けて、続けるか(4P)

商品・価格・届け方・知ってもらい方を決め、数字で振り返る

中小企業基盤整備機構が運営する中小企業向けサイト「J-Net21」でも、マーケティングで取り組むこととして、市場や自社の強み・弱みを確かめ、誰に何を売るかという商品コンセプトを決め、製品・価格・販路・販促の打ち手を目標やスケジュールとともに具体化する流れが紹介されています。あわせて、細部まで詰めすぎずに骨格を先に決めること、考えを書き出して社内で共有することも勧められています。この記事の3ステップも、同じ考え方に沿っています。

ステップ1:3Cで「今の立ち位置」を知る

最初のステップは、自社が置かれている状況を整理することです。ここで使うのが3Cという考え方で、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取ったものです。難しく考えず、次の質問に答えを書き出してみてください。

顧客(Customer):お客様は誰で、何に困っているか

  • 今、売上を支えているお客様はどんな人(会社)か。年齢、地域、業種、規模など
  • そのお客様は、自社に依頼する前に何に困っていたか
  • 困りごとを、お客様自身はどんな言葉で表現していたか
  • どこで自社を知り、何を決め手に選んだか

ポイントは、社長の想像ではなく実際のお客様の声で書くことです。最近取引を始めたお客様3〜5人に「なぜうちを選んでいただいたのですか」と聞くだけで、社内では気づかなかった選ばれる理由が出てくることがよくあります。

競合(Competitor):お客様は自社と誰を比べているか

競合は、同業他社だけとは限りません。リフォーム会社なら、地元の工務店のほかに、ホームセンターのリフォーム窓口や、ネットで職人を探せるサービスも比較の対象になります。「お客様が自社以外に検討しそうな選択肢」を書き出し、それぞれの強みと、お客様が不満を感じやすい点を整理します。

自社(Company):選ばれている理由と、できないこと

最後に自社の強みと弱みを整理します。「品質が高い」「対応が丁寧」は、どの会社も自分の強みだと考えがちで、お客様から見ると違いになりません。「なぜそう言えるのか」を具体的な事実で説明できるものだけを強みとして残します。たとえば「見積もり依頼から訪問まで原則2日以内」「職人が自社社員なので担当が変わらない」といった形です。あわせて、人手や設備の都合で「できないこと」も書いておくと、次のステップで無理な戦略を立てずに済みます。

ステップ2:STPで「誰に、何を」を決める

現状が見えたら、次は「誰に、何を届けるか」を決めます。ここで使うのがSTPで、Segmentation(市場を分ける)、Targeting(狙う相手を選ぶ)、Positioning(立ち位置を決める)の3つです。

S:お客様をいくつかのグループに分ける

まず、お客様をいくつかの切り口でグループに分けます。代表的な切り口は次のとおりです。

切り口個人のお客様(BtoC)の例企業のお客様(BtoB)の例
地域市内/隣の市町村/県外県内の製造業/隣県の取引先
属性年代、家族構成、持ち家か賃貸か業種、従業員規模、社内の担当者の有無
状況・きっかけ子どもの独立、親の介護、住宅の老朽化担当者の退職、設備の更新時期、取引先からの要請
重視すること価格、早さ、相談しやすさ、仕上がり納期、品質の安定、小ロット対応、窓口の一本化

小さな会社にとって特に役に立つのが「状況・きっかけ」の切り口です。年齢や性別で分けるより、「どんな出来事があったときに、自社のサービスが必要になるか」で分けたほうが、発信する時期や場所が具体的に決まります。

T:狙う相手を選ぶ

分けたグループのなかから、重点的に狙う相手を選びます。選ぶときは、次の3つを満たすかどうかで判断します。

  • 自社の強みが活きるか:ステップ1で整理した強みが、その相手の困りごとに直接効くか
  • 自社の体制で対応できるか:人手、エリア、納期などの面で、無理なく受けられるか
  • その相手に情報を届ける手段があるか:その人たちが見ている媒体や場所に、自社が発信できるか

ターゲットを絞ることに不安を感じる社長は多いのですが、絞るのは新規獲得のための発信であって、既存のお客様を断るわけではありません。誰にでも当てはまる言葉は誰にも刺さらない、という点を思い出してください。

P:他社との違いを1行で言えるようにする

狙う相手が決まったら、その相手から見て「なぜ他社ではなく自社なのか」を1行で言えるようにします。おすすめは、次の型に当てはめることです。

【狙う相手】にとって、【自社】は【困りごと】を【他社にはない方法・強み】で解決する【どんな会社】です。

たとえば「市内で築30年前後の家に住む60代のご夫婦にとって、当社は、水まわりの不具合を、住みながら1か所ずつ・自社の職人で直せる、相談しやすい地元のリフォーム会社です」といった形です。縦軸と横軸に「価格」「対応の早さ」「専門性」などを取り、自社と競合を並べたポジショニングマップを描いてみると、空いている立ち位置が見つかることもあります。

この1行は、のちにホームページのトップやチラシの見出し、営業トークの軸になります。会社としての一貫した印象づくりについては「中小企業のブランディングとは?」でも詳しく解説しています。

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ステップ3:4Pで具体策に落とし込み、続く仕組みにする

最後のステップは、決めた戦略を具体的な打ち手に落とし込むことです。ここで使うのが4Pで、Product(商品)、Price(価格)、Place(流通・届け方)、Promotion(販促・知ってもらい方)の4つの視点から、売れる仕組みを考えます。4Pは売り手側の言葉なので、お客様側の視点(4C)と並べて確認すると、ずれに気づきやすくなります。

4P(売り手の視点)4C(お客様の視点)小さな会社が考えること
Product 商品Customer solution 困りごとの解決狙う相手の困りごとに合わせて、サービスの範囲やメニューの名前を見直す
Price 価格Customer cost お客様の負担原価と利益から決めたうえで、相場と比べて説明できる価格か。目安の価格を出せるか
Place 流通Convenience 利便性店舗、訪問、電話、フォーム、LINEなど、お客様が相談しやすい入口がそろっているか
Promotion 販促Communication 対話狙う相手が実際に見ている場所(検索、SNS、地域紙、紹介など)で、STPの1行を伝えているか

販促は「どこで知られ、どこで比べられ、どこで決められるか」で選ぶ

販促の手段は、流行りや他社の真似で選ぶのではなく、狙う相手の行動に合わせて選びます。お客様が自社を知り、比べ、決めるまでの流れを書き出し、それぞれの場面での接点を用意します。

  • 知ってもらう場面:地域情報誌、チラシ、SNS、Web広告、展示会、既存客からの紹介
  • 比べられる場面:ホームページ、施工事例・導入事例、口コミ、Googleマップの情報
  • 決めてもらう場面:問い合わせのしやすさ、最初の返信の早さ、見積もりの分かりやすさ

ほとんどの業種で、比べられる場面ではホームページが見られます。ホームページが古いまま、スマホで読みにくいままだと、ほかの施策で興味を持ってもらっても、ここで離れてしまいます。見直しの目安は「ホームページのリニューアルはいつすべき?」、SNSの始め方は「中小企業のSNS運用、何から始める?」で解説しています。

続く仕組みをつくる:数字で振り返り、言葉を磨く

戦略は、一度つくって終わりではありません。単発のキャンペーンに頼ると、効果はその期間しか続きません。次の3つを習慣にすると、施策が少しずつ「資産」として積み上がっていきます。

  1. 接点を複数持つ:ホームページ、SNS、紹介、地域媒体など、お客様との接点を1つに依存させない
  2. 月に1回、数字を見る:問い合わせ件数、問い合わせのきっかけ、見積もりから契約に進んだ割合など、3つ程度に絞って記録する
  3. 反応を見て言葉を磨く:問い合わせや商談で、お客様が実際に使った言葉をメモし、ホームページやチラシの言葉に反映する

特に大切なのは「何を見て問い合わせたか」を毎回聞いて記録することです。これが分かると、次にお金と時間をかけるべき施策がはっきりします。既存のお客様からの紹介や口コミも、広告に頼らない有効な接点です。仕組みづくりは「口コミ紹介の仕組みを作るには?」をご覧ください。

1枚で書けるマーケティング戦略シートと記入例

ここまでの3ステップを、1枚のシートにまとめます。紙でも、表計算ソフトでもかまいません。左の項目に沿って、右の記入例を参考に書き出してみてください。

項目書くこと記入例(地方の住宅リフォーム会社)
1. 今のお客様売上を支えているお客様と、選ばれた理由市内の60〜70代の持ち家世帯。「近所で評判を聞いた」「職人さんが感じよかった」
2. 比べられている相手お客様が自社以外に検討する選択肢市内の工務店2社、ホームセンターのリフォーム窓口
3. 自社の強み(事実)事実で説明できる強みと、できないこと自社職人4名で担当が変わらない。依頼から訪問まで原則2日以内。大規模な新築は受けていない
4. 狙う相手状況・きっかけで具体的に築30年前後の家で、浴室やトイレの不具合が出始めた60代夫婦
5. 困りごと(相手の言葉で)お客様が実際に使う言葉「全部やり直すほどのお金はかけたくない」「工事中も家で暮らしたい」
6. 立ち位置の1行STPの型に当てはめた1文水まわりの不具合を、住みながら1か所ずつ、自社の職人で直せる地元のリフォーム会社
7. 商品・価格相手に合わせたメニューと価格の示し方「トイレだけ」「浴室だけ」の単品メニューを用意し、施工事例に費用の目安を載せる
8. 接点(知る・比べる・決める)相手が見る場所と、使う手段知る:地域情報誌・紹介/比べる:ホームページの施工事例・Googleマップ/決める:電話とLINEの相談窓口
9. 見る数字毎月記録する3つ程度の数字問い合わせ件数、問い合わせのきっかけ、見積もり後の契約数
10. 見直し時期戦略を書き直すタイミング半年ごと(4月・10月)と、新サービスを始めるとき

※記入例は説明のための架空のケースです。人数・日数などは自社の実態に合わせて書いてください。

BtoBの会社でも考え方は同じです。たとえば地方の金属加工会社なら、「狙う相手」は「試作や小ロットの依頼先を探している近隣県のメーカーの開発担当者」、「困りごと」は「大手の加工会社には小ロットを受けてもらえない」、「接点」は「展示会・技術資料をそろえたホームページ・既存取引先からの紹介」といった形になります。

小さな会社がやりがちな5つの失敗

戦略づくりでつまずきやすいポイントを、よくある順にまとめます。

失敗1:施策から考えてしまう

「Instagramを始めよう」「広告を出そう」と、手段から入ってしまうケースです。誰に何を伝えるかが決まっていないため、投稿や広告の中身がぶれ、効果も判断できません。施策を決める前に、戦略シートの4〜6番を先に埋めてください。

失敗2:ターゲットが「地域の皆さま」のまま

「地域の皆さまのお役に立つ」は大切な姿勢ですが、マーケティングの狙いとしては広すぎます。誰にでも当てはまる言葉は、読み手に「自分のことだ」と思ってもらえません。状況やきっかけで1つのグループを選び、その人に向けて書くことから始めます。

失敗3:強みが「品質」「丁寧」「安心」で止まっている

どの会社も同じことを言うため、お客様から見ると違いになりません。「なぜそう言えるのか」を数字や仕組み、具体的なエピソードで説明できる形に言い換えます。

失敗4:比べられる場面の準備が抜けている

チラシや広告で興味を持ってもらっても、ホームページに事例や費用の目安がない、更新が何年も止まっている、問い合わせが電話だけ、という状態では、比較の段階で他社に流れてしまいます。知ってもらう施策にお金をかける前に、比べられる場面と問い合わせの入口を整えるほうが、効率が良いことが多くあります。

失敗5:つくった戦略を社内で共有していない

社長の頭の中にだけ戦略があり、現場の社員や事務の担当者は知らない、というケースです。電話の受け答えや見積もりの説明、SNSの投稿で伝える内容がそろわず、せっかくの戦略が伝わりません。戦略シートは1枚にして社内に共有し、朝礼や会議で繰り返し話題にすることをおすすめします。

マーケティング戦略の点検チェックリスト10項目

最後に、自社のマーケティング戦略を点検できるチェックリストを用意しました。当てはまらない項目が、次に手をつけるべきポイントです。

小さな会社のマーケティング戦略 点検リスト

  • 最近のお客様に「なぜ選んだか」を直接聞いたことがある
  • お客様が自社と比べている相手を3つ以上言える
  • 自社の強みを、数字や仕組みなどの事実で説明できる
  • 狙う相手を「状況・きっかけ」で1文にできる
  • 他社との違いを1行で言え、社員も同じ言葉で説明できる
  • サービスの内容と費用の目安を、ホームページなどで確認できる
  • お客様が自社を「知る・比べる・決める」場面ごとに接点がある
  • 電話以外にも、フォームやLINEなど相談しやすい入口がある
  • 問い合わせのきっかけを毎回聞いて記録している
  • 戦略を見直す時期(半年ごとなど)を決めている

当てはまらない項目が4つ以上ある場合は、施策を増やす前に、戦略シートで「誰に、何を、どう届けるか」を整理し直すことをおすすめします。

よくある質問

マーケティング戦略と販促計画は何が違いますか?

マーケティング戦略は「誰に、どんな価値を、どの立ち位置で届けるか」という方針で、販促計画はそれを実行するための具体的な打ち手(チラシ、広告、SNS投稿、展示会など)とスケジュールです。戦略が決まっていないまま販促計画だけを立てると、施策ごとに伝える内容や狙う相手がばらばらになり、効果も検証しにくくなります。先に戦略を1枚にまとめ、その下に販促計画をぶら下げる形にすると整理しやすくなります。

社長1人でもマーケティング戦略は立てられますか?

立てられます。この記事の戦略シートは、社長1人で半日ほどあれば一通り埋められる分量にしています。ただし「顧客がなぜ自社を選んだか」は社長の思い込みとずれていることが多いため、既存のお客様数人に直接聞く、現場や営業の社員に意見をもらう、といった確認はぜひ挟んでください。書いた内容を社内で共有しておくと、日々の判断もそろいやすくなります。

ターゲットを絞ると、売上が減りませんか?

ターゲットを絞るのは「それ以外のお客様を断る」ためではなく、「伝える内容と使うお金を集中させる」ためです。絞った相手に刺さる言葉は、近い悩みを持つ周辺の人にも届きやすくなります。反対に、誰にでも当てはまる言葉は誰にも刺さらず、結果として問い合わせが増えないことがよくあります。既存のお客様との取引はそのまま続けながら、新規獲得の発信だけを絞るところから始めると安心です。

戦略を立てたら、どのくらいの頻度で見直せばよいですか?

戦略そのもの(誰に、何を、どの立ち位置で)は半年から1年に1回、施策の数字(問い合わせ数、来店数、ホームページの閲覧数など)は月に1回見るのが目安です。毎月の数字を見て施策を入れ替え、季節や競合の変化、新しいサービスの追加など大きな変化があったときに戦略シートを書き直す、という二段構えにすると無理なく続けられます。

3C・STP・4Pは全部やらないといけませんか?

全部をきっちり埋める必要はありません。中小企業にとって大切なのは、フレームワークを正しく使うことより「誰に、何を、どう届けるか」が社内で同じ言葉で説明できる状態になることです。時間がなければ、3Cは顧客と自社の強みだけ、STPはターゲットの1行だけ、4Pは販促(どこで知ってもらうか)だけでも書き出してみてください。それだけでも施策の迷いはかなり減ります。

まとめ

マーケティング戦略は、大きな予算をかけることではありません。3Cで今の立ち位置を知り、STPで「誰に、何を」を決め、4Pで具体的な打ち手に落とし込んで、数字を見ながら続けていく。この3ステップを1枚のシートにまとめるだけで、小さな会社でも施策の迷いは大きく減ります。

まずは最近のお客様数人に「なぜ選んでいただいたのか」を聞くところから始めてみてください。そこで出てきた言葉が、戦略シートのいちばん大事な材料になります。自社だけで整理するのが難しい場合は、第三者の視点を借りるのも一つの方法です。

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参考資料

  • J-Net21(中小企業基盤整備機構)「マーケティングでは具体的にどんなことをすればいいですか?」 Web
  • 中小企業基盤整備機構「マンガでわかる『マーケティングの4P』」 Web
  • J-Net21(中小企業基盤整備機構)「市場や業界の調べ方」(4Pと4Cの対応) Web

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Profile

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金井 泰幸

offtie 代表。GMOインターネットグループでのデジタルマーケティング支援を経て独立。地域に根差した企業の「伴走役」として、ホームページやSNS・Web広告による発信、AIを使った業務効率化、人手の足りない業務の代行まで、会社の困りごとをまとめて支援している。